いつもダイレックスなるディスカウントストアーもどきの前を通るたびに、かつてここにあったファミリーランドえぞえという桃源郷のようなデパートのことを思い出す。中には通常のスーパーのほかにクリーニング屋や薬局もあり、さらにはファミリーランドえぞえ創業のきっかけとなった金魚売場も充実しているといううれしい店だった。ファミリーランドえぞえはもとは金魚養殖業で、田んぼの中で金魚を養殖している業者だったが、時折地域住民が物を買いに来て、なぜか金魚以外の雑貨を買いに来るという間違いが多発したために雑貨屋を始めたところ繁盛、そのままスーパーマーケットを創業し、派手な店舗展開をしたという数奇な運命をたどった店だった。そのような変わった創業秘話ゆえに、一時は全国ネットのテレビ番組にもファミリーランドえぞえは紹介されるほどだった。しかし、佐賀地区の経済の停滞がファミリーランドえぞえにも襲い掛かり、ファミリーランドえぞえと取引先の業者との納品トラブルを巡ってファミリーランドえぞえ側が支払う賠償金が支払えなくなり、せっかく新しい店舗が開店した矢先に倒産してしまったのだった。ファミリーランドえぞえの創業家の江副家は逃亡、計画倒産ともささやかれている。ファミリーランドえぞえの倒産を研究するライに重要なファクターは、元が金魚屋からの創業という点である。本来の立ち位置を見失わなければファミリーランドえぞえは闇雲な店舗拡張や販売戦略を取らずに、もっと地元産品を売るなどの特色ある店づくりが可能だった。それはなんだかんだなんだかんだオサダのハイパーセンターオサダが経営破たんした際にも同じことが言えた。誰もが買えるような全国ブランドよりも、価格が良心的な地元産品を特売の対象にして大量に販売したり、チヨちゃんのゆず胡椒のように地元の人間しか知らない隠れた名品を一押し商品として全国に配信するなどの地場大手ならではの特色がファミリーランドえぞえには必要だったのである。
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